突発性難聴の聴覚補充現象は、鍼治療で治りますか？

体調の考慮を優先していきましょう

N様が最初に当院に来られた時は、難聴よりも音の響きのほうが辛いようでしたが、聴力が回復していくにつれて響きが気にならなくなってきたとおっしゃっていたので、鍼の効果が存分に出た結果だと思います。自律神経も良い状態を保てているので、維持できるようにこれからも治療に尽力させていただきます。

お仕事も私生活も忙しいことと存じますが、心の不調はお体にあらわれますし、お体の不調は心にあらわれるものなので、あまりご無理せず、何かありましたらすぐにご相談ください。

副院長 吉池 美奈子

音の変化に敏感になる・特定の音が響いて聴こえる

突発性難聴は、片耳の聴力が急に低下する重度の難聴ですが、音が聴こえづらいのにわずかな音量の変化でうるさいと感じたり、特定の音域が頭の中で響いて聴こえたりするのが、聴覚補充現象(リクルートメント現象)です。

人は、もともと自分にとって必要な音か・必要ではない音なのかを区別できるので、ガヤガヤした空間でも自然と話の内容を聴き取ることができますが(カクテルパーティー効果)、突発性難聴で内耳の異常や有毛細胞の損傷があったりすると、調整がうまくできず、音の響きや歪みが生じてしまいます。

自律神経の乱れ・感覚過敏があるほど音が響く

脳には、理論脳(音を冷静に分析して聞く部分)と、情動脳(音を心地が良いか悪いかを感じる部分)があります。

通常だと、脳は都合の悪い音は無視し、必要な音だけ聴こうとしますが、突発性難聴で聴力が急に低下すると、情動脳が驚き、聴こえない音域を探して活性化します。

また、情動脳は自律神経の中枢でもあるので、自律神経が乱れたり不安に思うほど音の響きは強くなり、もとから敏感な気質(感覚過敏など)がある方ほど、音の響きが気になる傾向にあります。
※突発性難聴と似た疾患で「メニエール病」もありますが、メニエール病も聴覚補充現象があらわれる場合があります。

お風呂で全身を温める

突発性難聴の発症は、ストレスや血行不良が要因になっていることが多いので、温かいお風呂に首まで浸かりましょう。緊張状態だった体がほぐれ、ストレスからの開放や、血流を良くする効果が期待できます。

※39～40度程度のお湯に全身ゆっくり浸かると、体の深部まで温めることができます。(熱すぎるお湯は、血栓のリスクを高めるので注意しましょう。)
※換気扇の音で症状が悪化する場合もあるため、窓を開けるなどして気圧の調整をしてください。

自然の音を聞いたり景色を見たりする

人は、川や波の音を聞く、雲の動きや森林を見るなど、自然にふれることでリラックス状態になり、ストレスが軽減すると言われています。

時間があるときは、自然を感じられる所に散歩に行くと、お体にとって良い状態が保てます。難しい方は、自然の音が入った音源を聞くと良いです。

睡眠、水分、良質な食事をとる

睡眠・水分・バランスの取れた食事を取ることは、突発性難聴をもとから改善させるための体の土台づくりに重要です。

質の良い眠り(深い眠り)になるほど、成長ホルモンが分泌して免疫力を高めてくれるので、ストレス軽減に効果的です。また、適度な運動を取り入れたり、寝る前の1時間半～2時間前に入浴したりすると、質の良い眠りになりやすいです。

食事では塩分、糖分、油の過剰摂取は控え、生野菜や発酵食品、刺身、貝類、赤身肉などの食材をバランスよく意識して摂りましょう。一汁三菜が望ましいですが、お忙しくて難しい方は、野菜などをたっぷり入れたスープを食べるなどして、栄養不足を回避してください。

耳栓を使う

良い耳の方に耳栓をつけると、比較的聴こえの釣り合いがとれるため状態が安定しやすく、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなどもおすすめです。

左右で聴力のバランスを取りながら、自律神経を整える鍼治療をすると改善に向かうことが多いので、お早めに当院までご相談ください。

自律神経を整える

首が曲がっていると椎骨動脈を圧迫するので、睡眠時の脳や内耳への血流と酸素量が低下し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

それにより、朝起きた時の聴覚補充現象や耳鳴りが悪化してしまいますが、首の曲がりを鍼で治せば、新鮮な血液と酸素が供給できるようになるので、聴覚補充現象が改善しやすくなります。

ストレスを改善する

過度なストレスは交感神経が緊張するので、顔や手足の温度を下げ、免疫力が低下します。また、ステロイドにも免疫力を下げる副作用があるので、うつ状態になり突発性難聴の回復を妨げる要因になることも多いです。

顔面神経と聴神経は隣り合っているので、顔の神経の血流を良くする鍼治療を行うと、耳の神経と脳内の血流も良くなるため、聴覚補充現象が改善しやすくなります。

• 

  小林 修

  妻が突発性難聴になり退院したのですが、食器同士が当たったりレジ袋がカサカサしたり、本がパラパラめくれる音などが気になるようで、すぐ自室にこもってしまいます。こちらも気を使って生活しているのですが、正直どうしたらいいのか分からず困っています。妻のように、リクルートメント現象で細かい生活音が気になる場合でも治すことはできますか？

• 鍼灸師の解凍

  自律神経が乱れたりうつっぽくなったりすると、音の響きがとても気になってしまう事が多いので、一度当院の検査をしてみるのも良いかと存じます。自律神経やストレス状態は体表温度を見ると分かるので、奥様に効果的な治療法のご提案ができます。

  
• 

  大城 こはる

  突発性難聴が治っている方だと、だいたいどのくらいの頻度で通院されていますか？※治療を希望してますが、音がガンガン響いて具合悪い日がある(多分気候の変化によるもの)、普通に歩けるのですが、どこから音がしているのか分からない時があって、車が多く通る道だと怖くて歩けません。

• 鍼灸師の解凍

  間をあけずに鍼治療を続けている方ほど、改善している傾向があります。発症から3カ月は、聴力が回復する見込みがあるため、毎日の積極的な治療をおすすめ致します。通院が怖いということでしたら、遠慮なく当院の送迎車をご利用ください。大城様の通院のご不安が解消できると思いますので、ご予約時にお問い合わせください。

  
• 

  義家

  薬みたいに副作用はありますか？

• 鍼灸師の解凍

  鍼治療は、誰もがもつ自然治癒力を活かした治療なので、お薬のような副作用はありません。遠方から治療に来られる方だと、1日2回の治療をする方が多くいらっしゃいます。

  
• 

  sasamotosan

  お医者さんからは、完全に治すのは難しいよと言われたのですが、鍼なら治せそうですか？一度診ていただきたいと思っているのですが…。

• 鍼灸師の解凍

  「鍼治療で突発性難聴が治る」という研究結果はありませんが、血流異常や、症状を悪化させる要因になりやすい精神的な不調を緩和する効果が見込めることから、改善効果は高いと存じます。
  
  ただ、鍼治療は保険外治療なので、鍼灸院によって治療法や料金、効果の出方が変わるため、聴力検査ができる鍼灸院での治療がおすすめです。