突発性難聴は労災認定が受けられますか？

原因の証明が難しいためです

お医者様からストレスが原因と言われても、ご自身でストレスを感じている自覚があっても、突発性難聴の発症は「職場環境だけが原因」という証明や特定が難しいので、労災認定はできません。

騒音性難聴は対象になる可能性があります

工事現場で働く方や、インカムを使っている方などは、日々騒音にさらされているので、認定要件はいくつかありますが(例えば85デシベル以上の騒音下で5年以上働いてきたなど…)、すべての要件を満たしていると判断された場合、労災の対象になります。

傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった被保険者が、会社を休んで十分な報酬を得られないときに、健康保険から支給される手当です。(支給額は、概ね給与の3分の2となります。)

騒音性難聴(職業性難聴)のように、職場の騒音が原因と判断された場合は労災の対象ですが、突発性難聴は労災の対象とはならないため、傷病手当金の申請をすると、支給が受けられます。
※国民健康保険は傷病手当金が出ないことなど、支給条件が複数あるため、事前に確認してください。

申請をするときは、特に医師の診断書の提出は必要ありませんが、突発性難聴で仕事ができない状態ということを、「療養担当者記入欄」に記載しなければいけないので、耳鼻科の先生に相談し、記入をお願いするようにしましょう。

障害年金、障害手当金

障害年金は、病気や何かしらの障害が原因で、日常生活や仕事が制限されるようになったときに、国から支給される年金です。

難聴の場合ですと、両耳難聴は障害年金受給の対象になりますが、片耳難聴だと対象になりません。ただ、片耳の聴力が80dB以上の場合だと、障害手当金が受け取れる可能性があります。(治療中の方を除く)

※初診日(病気や何かしらの障害で、初めてお医者様の診療を受けた日)に65歳未満であることなど、支給要件が複数あるため、事前に確認してください。

休んで治療に専念した方が良いです

突発性難聴で片耳が聴こえづらくなると、耳鳴りやめまいなどの不調があらわれるので、仕事に集中できなくなったり、人とのコミュニケーションをとるのが難しくなったりするケースが多いですが、突発性難聴のことをよく知らない方だと、「片耳が聴こえるから大丈夫」という誤った認識から、理解を得るのが難しいときもあると存じます。

ですが、不調を我慢して働き続けると、良い耳の聴力も低下したり、うつ状態になったりするケースもあるので、突発性難聴になったら可能な限りお仕事はお休みし、治療に専念していただくことを強くおすすめします。

お医者様の治療ではステロイドが使われます

突発性難聴は内耳に炎症が出ている状態と考えられていることから、お医者様の治療(保険内治療)では、炎症を抑えるためにステロイドが使われます。ただ、突発性難聴の特効薬ではないので、ステロイドで治る方は3分の1程度、少し良くなる方や症状が固定する方は3分の2程度と言われています。

ステロイドは内服や点滴だけでなく、副作用が少ないとされる「鼓室内ステロイド注入」という治療法もありますが、鼓膜に空けた穴が塞がらなくなり、感染症が起こるリスクが高まるので、くれぐれも複数回の注入にはお気をつけください。

患者様の鼓膜

　

治療経過

※上記の写真は、鼓室内ステロイド注入を数回しても突発性難聴が治らず、当院に来られた患者様の鼓膜です。穴がぽっかり空いていましたが、レーザーをあてる治療を続けると、徐々に穴が塞がっていきます。

お早めに鍼治療をご検討ください

ステロイドの効果を感じられない場合は、鍼治療を始めるという選択肢もあります。お医者様は症状が出ているところを主に診てくださいますが、鍼治療では症状が出ているところだけでなく、全身から突発性難聴を引き起こした原因を探し、根本から改善を目指して治療に取り組んでいます。

鍼灸院によって治療法や効果は異なります

お医者様の治療は保険内治療なので、どこの病院にいっても平等に医療サービスを受けることができますが、鍼灸治療は保険外治療なので、鍼灸院によって治療法や効果の出方、施術料金などが大きく異なります。

突発性難聴の場合だと、当院としては正確な聴力の状態が分からなければ、効果的な突発性難聴の鍼治療は出来ないと考えているので、聴力検査ができる鍼灸院を推奨します。

ステロイドが効かない = 梗塞体質の可能性あり

ステロイドの効果がなかったために、当院に来院される患者様は多くいらっしゃいますが、医療用サーモグラフィでお体を診ると、傾向として、ふくらはぎの温度が異常に低い方がほとんどです。

これは、梗塞を起こしやすい体質の方に共通しているお体の状態なので、当院としては突発性難聴でステロイドが効かない方は、梗塞体質である可能性が高いのではないかと考えています。

また、首が曲がり椎骨動脈を圧迫していることも、内耳への血流が滞って聴力回復の妨げになるので、鍼で梗塞体質の改善から血流異常の改善まで、全身をトータル的に治療しています。

治療は早いほど効果的です

突発性難聴は労災の対象になりませんが、早期のお仕事復帰や回復を目指すなら、しっかりお体を休めつつ、聴力改善の治療や良い耳を悪くさせないための治療を早く始めることが、最善の道だと存じます。

当院には遠方から来院される患者様が多いですが、リフレッシュもかねて治療に来院されている患者様ほど、良い効果が出ている印象を受けます。

聴力検査、医療用サーモグラフィ、循環器用エコーを使った検査をすると、患者様ひとりひとりに合った治療法のご提案が可能なので、お困りの方は一度当院までご相談ください。