ホスト: 今日はですね、医学雑誌「月刊ENTONI」の2つの記事をもと、に突然やってくる突発性難聴。それと、あの耳が詰まったようなちょっと不快な感じ、耳閉塞感ですね。この2つの関係を探っていこうと思います。
ゲスト: はい、今回のミッションはまあ、これらの症状の謎を解き明かすということですね。特にその突発性難聴がどんな生活習慣と結びついているのか。それから耳閉塞感。この感覚がまあなぜどうやって起こるのか、そのメカニズムに迫りたいと思います。
ホスト: なるほど、耳閉塞感。なんだか探偵みたいでワクワクしますね。じゃあ最初の謎、突発性難聴からいきましょうか。えっと、基本的な定義は突然発症する原因不明の高度な感音難聴。つまり、えっと、内耳とか神経の経路に問題が起きるタイプでしたよね。
ゲスト: ええ、そうです。
ホスト: 50代とか60代に多くて、最近増えてるみたいな話も。
ゲスト: そうなんですよ。原因はまあ、はっきりとはわかってないんですが、内耳のウイルス感染とか、あるいは蝸牛、蝸牛ですね。そこの血流障害とか。まあ、そういうものが考えられてはいるんですけどね。
ホスト: ふむふむ。
ゲスト: で、ここであの、非常に興味深いのが生活習慣とのつながりなんですよ。特に血流障害が関わるってなると、食生活の影響というのは、これは無視できない。
ホスト: 食生活ですか具体的にはどういう。
ゲスト: ええ、ある研究がありまして、それによると西洋型食品、まあ牛肉とかバター、チーズ。そういうのを多く摂るグループだと、リスクがだいたい2倍くらいになると。
ホスト: へ~2倍。
ゲスト: 逆に日本型食品、魚とか野菜、お豆腐とかですね。そういうのを多く取ると、リスクが約半分になるという結果が出てるんです。
ホスト: あ、半分に。それはかなり大きな差ですね。
ゲスト: そうなんです。で、さらにですね、ちょっと衝撃的なんですけど、西洋型が多くて日本型が少ないっていう食事パターンだと、その逆の日本型が多くて西洋型が少ないパターンに比べてリスクがなんと最大で6.5倍にもなる可能性があると。
ホスト: 6・・6.5倍!?
ゲスト: ええ。
ホスト: それは・・・ちょっと無視できない数字ですね。
ゲスト: ですよね。やっぱり生活習慣が与える影響って大きいんだなと。
ホスト: 食事以外では何かありますか?例えばお酒とか睡眠とか。
ゲスト: あーそれもですね同じ研究で多量飲酒、まあ1日に日本酒で2合以上飲むような場合ですね。これもリスクを約2倍にする可能性があると示唆されています。あとは睡眠不足。だいたい6時間未満とかですかね。それから疲労、ストレス、こういったものとの関連もまあ指摘されてますね。
ホスト: なるほど。
ゲスト: ただ一方でその喫煙、タバコですね。これとの明確な関連っていうのは、これらの資料からはちょっと生み出してはいないようです。
ホスト: そうなんですね。ビタミンとかはどうです?何か予防になるような。
ゲスト: あ、それはですね、ビタミンEとか、あと葉酸。これが予防的に働くかもしれないという可能性も示唆されてはいますね。
ホスト: なるほどなるほど。では、次の謎に行きましょうか。あの耳が詰まる感じ、耳閉塞感、飛行機とかトンネルとかで経験するあの感じですよね。これも突発性難聴と関係が深いんですか?
ゲスト: 関係深いですね、ええ。突発性難聴の他にメニエール病とかあと外リンパ瘻っていうこれは内耳からリンパ液が漏れちゃう病気なんですけど、そういった他の内耳の病気でもよく見られる症状です。で、突発性難聴では報告によってちょっと幅はあるんですが、だいたい30%から多いものだと8割以上の患者さんがこの耳閉塞感を感じるという報告がありますね。
ホスト: 8割!そんなに多いんですね。なぜそんな感覚が起きるんでしょう。単に聞こえが悪くなるだけじゃないんですか
ゲスト: ええ、そこがポイントでして。単なる聴力低下だけじゃなくて内耳の何か物理的な変化が関わってるんじゃないかって考えられてるんです。例えるなら内耳ってすごくデリケートな水圧システムみたいになってるんですね。
ホスト: 水圧システム。
ゲスト: はい。で特にメニエール病とかあと低音だけ聞こえにくくなるタイプの難聴で疑われる内リンパ水腫。これは内耳のリンパ液が増えすぎちゃった状態なんですけど、こうなるとその水圧のバランスが崩れるわけです。
ホスト: ああ、バランスが。
ゲスト: ええ、内リンパ液が増えすぎると内耳の圧力が全体的に高まって前庭層と蝸牛層という2つの窓があるんですけどその間で圧力の差が生じるんじゃないかと。この物理的な圧力の変位みたいなものが、あの耳閉塞感、耳が詰まった感じとして、こう感じられる原因なんじゃないかと推測されているんです。
ホスト: へえ、なるほど。じゃあ、単に聞こえにくいだけじゃなくて、物理的な圧力が関係しているかもしれないと。
ゲスト: ええ。
ホスト: それで以前、突発性難聴でこの耳閉塞感があると、かえって治りが良いみたいな話を聞いたことがあるんですが、それは?
ゲスト: ああ、それですね。ある研究では耳閉塞感がある方がない方に比べて特に低い音域の聴力の改善が良い傾向が見られたという報告があります。
ホスト: ほう。
ゲスト: これはなかなか興味深い点で例えば耳鳴りっていうのは主にこう音を感じる有毛細胞のダメージに関係していると考えられるんですけど、一方でこの耳閉塞感はさっき言ったような内耳の圧力変化みたいなもっと器質的な構造的な要因が関わっている可能性を示しているのかもしれない。つまり、症状のその発生メカニズムがそもそも違う可能性があるってことですね。
ホスト: なるほどなるほど。いや、面白いですね。つまりまとめると、突発性難聴には食生活とか睡眠といった生活習慣が、そして耳閉塞感には内耳の物理的なまあ、圧力の変化がそれぞれ関わっている可能性があるということですね。さて、これが今これを聞いているあなたにとってどんな意味を持つんでしょうか。
ゲスト: そうですね。全体像としてみると、まず、突発性難聴の生活習慣リスクっていうのは、心臓とか血管の健康を保つための、まあ一般的なアドバイスと重なる部分が多いですよね。
ホスト: 確かに。
ゲスト: それから耳閉塞感の研究っていうのは、内耳がいかにデリケートで、体の内部の状態を反映しやすいかということを示しているように思います。さらに言うと、突発性難聴が将来の、えー脳卒中のリスクを高める可能性があるなんていう報告もあるんですよ。
ホスト: え、そうなんですか?
ゲスト: ええ。ですから、耳の健康っていうのは決してその、耳だけの問題じゃなくて全身の健康と無関係ではないっていうことがこう見えてくるわけです。
ホスト: いやー、深いつながりが見えてきましたね。
ゲスト: ええ。生活習慣、それから突然の聴力のトラブル、そして耳の不快な閉塞感と内耳の圧力。まあ、まだまだ研究が必要な分野ではありますけど、非常に興味深いつながりが見えてきたなと思いますね。
ホスト: 本当ですね。それでは最後に、あなたへの問いかけです。ある研究で示唆されたように、もし突発性難聴が体全体の、例えば循環器系の健康状態のサインともなり得るのだとしたら、普段あまり気に留めないかもしれない耳のちょっとした変化に注意を払うこと。それは、あなたの聴覚を守るだけでなく、あなた自身の全身の健康状態を見つめ直す、どんなきっかけになり得るでしょうか。少し考えてみてください。
※出典1 全日本病院出版会 ENTONI No.52 「突発性難聴」
※出典2 全日本病院出版会 ENTONI No.119 「耳閉塞感の診断と治療」